歯ぎしり・
食いしばり

歯ぎしり、食いしばりは夜間、無意識下で行っていることが多いです。
昼間に食いしばりを行う方もいますが、多くの方は就寝時に歯ぎしりをすることが多いです。
無意識下のため力のコントロールがつきにくく、昼間より強い力がかかってしまうのが特徴です。

歯ぎしりの場合、通常の咬合力よりもさらに強い力がかかることがあります。
歯ぎしり中の咬合力は、男女どちらも通常の噛み合わせの2～3倍に達することがあるとされています。

睡眠時無呼吸症候群（SAS）や不規則な睡眠パターンが歯ぎしりの原因となることがあります。
睡眠の質が低下すると、無意識に歯ぎしりをすることが増える傾向にあります。

日常生活や仕事、人間関係などのストレスや不安が歯ぎしりや食いしばりの原因となることがあります。
ストレスや不安が高まると、顔や顎の周囲の筋肉が緊張しやすくなり、歯ぎしり・食いしばりが生じてしまうことがあります。
また、緊張状態により睡眠の質が低下することで引き起こる場合があります。

歯並びが悪い場合、上下の歯が正しく噛み合わず、歯ぎしりが起こりやすくなることがあります。

歯ぎしりが原因で顎関節症になることがありますが、反対に顎関節症の違和感が歯ぎしりの原因となるケースもあります。

正しい姿勢や快適な寝具、静かな環境など、ご自身が良好と感じる就寝環境が得られないことで眠りが浅くなってしまうと、歯ぎしりに繋がることがあります。

鼻疾患によって呼吸がしにくくなったり、鼻づまりが起こったりすると、口呼吸になってしまいます。
また、鼻疾患は睡眠時無呼吸症候群という睡眠中に呼吸が止まり、眠りが浅くなる症状を引き起こすことがあるため、それによって歯ぎしり・食いしばりが起こることがあります。

歯ぎしりのグラインディングは、歯を強くこすり合わせる歯ぎしりのことを指します。
大きく前後にずらすように、ぎりぎりと行うタイプの歯ぎしりです。
夜間に起こる歯ぎしりはこのグラインディングが多いといわれています。
非常に強い力のかかる歯ぎしりで、歯や歯肉に損傷を与える可能性があります。
グラインディングが続くと、歯の表面が摩耗し、歯の痛みや感覚過敏などの問題が引き起こされることがあります。

歯ぎしりのクレンチングは、歯を強く食いしばる歯ぎしりのことを指します。
音がしないため、気づいてもらいにくいという特徴があります。
スポーツや力仕事などで歯を食いしばるくせが、夜間になっても繰り返してしまうこともあるようです。
グラインディングよりも歯や歯茎へのダメージは少ないですが、強い力がかかり歯のダメージだけでなく、顎関節症などの原因になります。

タッピングは、上下の歯を小刻みにかちかちと噛み合わせる歯ぎしりのことを指します。
一般的には、他の歯ぎしりのタイプに比べて頻度が少ないとされています。
寒くて震えている時のような歯ぎしりです。

ナッシングは、特定の歯を擦り合わせる歯ぎしりのことを指します。
一部分の歯をこすり合わせるので、その部分だけが摩耗します。
歯を擦り合わせる際にきしむような音が聞かれることが特徴です。

歯ぎしりは無意識下で行われることが多いため、通常の咬合力の2～3倍の力がかかります。
とても強い力のため、歯がこの力に耐えられず折れてしまうことがあります。
また、歯が破折するだけでなく修復物や補綴物の破損につながることもあります。

歯周病は歯槽骨の吸収が進む病気です。
歯ぎしりで強い力がかかると、歯周病のある部分は歯槽骨の吸収がさらに進んでしまい、歯周病が悪化してしまう可能性があります。

当院では歯ぎしりによる歯の損傷や顎関節への負担を軽減するために、ナイトガードを提供しています。
夜間の歯ぎしりや食いしばりから歯を保護し、顎関節への圧力を分散することができます。

不正咬合が原因となる場合、噛み合わせの調整を行います。
噛み合わせを正しくすることで、歯ぎしりの原因を改善し、歯や顎への負担を減らします。
咬合調整や場合によっては矯正治療を提案させていただき、正しい咬合を実現します。

歯ぎしりや食いしばりの治療法としてボツリヌス注射があります。
ボツリヌス注射は、筋肉の過剰な収縮を抑制するために使用され、歯ぎしりや食いしばりによる顎の筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。

顎関節症や口腔周辺の緊張から歯ぎしりや食いしばりが起こっている方は、マッサージを行うと軽減されるケースがあります。

睡眠の環境に何らかの問題があると眠りが浅くなり、歯ぎしり・食いしばりにつながる可能性があります。
適度な温度や湿度、静かな環境など、ご自身に合った就寝環境を確保できているか、寝具に問題はないかなど見直してみましょう。

鼻疾患がある方は眠りが浅くなり、症状の原因となることがあります。
必要であれば耳鼻科を併院し、鼻疾患の治療を受けることをおすすめいたします。

些細なことのように見える食いしばりや歯ぎしりですが、歯や顎に想像以上に負担が掛かっています。
歯ぎしりや食いしばりで加わる力は、患者さまの想像以上で、歯がすり減るだけでなく、歯が割れたり歯根が折れたりすることも多くあります。
そのため、食いしばりも歯ぎしりも見過ごさず、治療が必要です。
当院では、ナイトガードやボツリヌス注射など、ライフスタイルに合わせた治療法を多数ご用意しています。

新横浜エス歯科クリニック院長
花澤 昌宏